■NPO「未来へ」の拠点、アイン・モシュ村


 





モロッコの古都、マラケシュの近郊に位置するアイン・モシュ村がサハラへの道の拠点です(サハラヘの道の理念に関しては、こちらをお読みください)。大道芸人や商人が軒を連ねる世界遺産「フナ広場」のあるマラケシュ市内とは異なり、一面に小麦やオリーブの畑が広がる自然の豊かな地域にあります。

 

この村には、昔から定住生活を営んできた北アフリカの先住民、ベルベル人の方が多く暮らしています。水源が近くにあるこの村では、アトラスが雪化粧を始めたころに、麦の作付けを行い、その傍らで、年間を通じて季節の野菜が栽培されています。また、品種改良の加えられていないオリーブの木は、所々で小さな木陰を村の方や動物たちに与えてくれます。


各家庭では、ヤギやヒツジ、ウサギやウシなどの家畜が飼育され、動物たちと呼吸を合わせて、日々の生活が繰り返されています。大切な財産としての家畜。そのお世話は、小さな子どもから杖をつきながら歩くお年寄りまで、家族のみなさんの協力の中で成り立っています。


このように、アトラスの麓に広がるこの村では、時には猛威をふるう自然を相手に、自給自足の生活を送ってきました。しかし、近年では、近代化の波が押し寄せ、その生活にも変化が生まれています。これまでは、「聖者」と崇められる人に、診ていただいていた病も、今では、村ごとに診療所が設立されています。収穫物や家畜が治療代として差し出されていた以前とは異なり、診療所では、現金が必要となってきます。ここアイン・モシュ村でも、このような時代の変化への対応を迫られるようになってきました。


■生産者のご紹介
 

                    ボ・シャルウィットの生産者              プフの生産者 
 

   


マルシェバックの生産者




 

 

 



■NPOとNGOの違いについて
 

 

NPO(non-Profit Organization)「非営利組織」とNGO(non-Governmental Organization)「非政府組織」、
この二つは、しばしば混合されて考えられますね。
 
このたび、アイン・モシュ村で設立した民間組織を呼称する際に
どのような呼び方が最もふさわしいのか
個人的に少し調べてみましたのでご説明させていただきます。
 
NPOもNGOも、国際的な指針となる定義が未だ確立されていない現状もあり、
サハラへの道のウェブページでも、混同して使用されているところがあります。
Lester M. Salamon & Helmut K. Anheier が世界13カ国で用いられている
NPOの定義について述べた”Defining the nonprofit sector ?A corss-national analysis(1997)”によると、
各地の文化や伝統、そして国内法によって、NPOの定義は異なるそうです。

例えば、ドイツの場合、「基本的に、商業的目的以外の活動をする非営利の団体(association)、
法人(corporation)、財団(foundation)」(Salamon & Anheier, 1997: 28)をNPOと定義しています。
また、インドの場合は、開発途上国では、しばしばNPOとNGOが混同して考えると前提したうえで、
「国際NGO、農村地域で独立時に出現した”Ganghian Organization(ガンディー連合)”、
先住民・少数民族共同体」など幅広い機関に及ぶと述べています。(Ibid: 24)
 
このような多様性があると述べたうえで、国際的な指針の一つとして、
各国の国内法にNPOの定義を見ることができるとしています。
つまり、営利を目的としない組織は、税制制度を免除される場合が多く、
これがNPOの一つの基準となるわけです。
 
一方で、国際連合では、次のような定義をしています。
「組織の大部分の収入が、市場経済活動によるものではなく、
組織のメンバーやその支援者からの寄付金や組合費から構成されている団体(Ibid: 31)」
 
また、尾道大学の荒井貴史氏によると、日本では、
1998年12月1日から施行されている特別非営利活動促進法(通称NPO法)により、
NPOに法人格が付与され、国が民間非営利組織を独自の存在として認めることとなったそうです。(荒井、2002:63)
 
さらに、NPOとNGOの相違について、荒井氏は以下のように述べています。
「民間非営利組織には、通常、非政府組織が含まれる。
開発援助や環境問題などで国際的な活動をしている民間非営利組織のことを、
特に非政府組織(NGO)と呼んでいる」(Ibid: 64)
 
こちらをみると、多くの開発援助や難民救助を行っている組織は、
非政府組織であり、非営利組織であるので、一つの組織が重複した呼称を有していることも理解できます。
実際に、パレスチナをはじめシリア内戦に伴い発生した難民救助を主な活動としている
NPO法人「パレスチナ子どものキャンペーン」も、1986年にNGOとして設立され、
NPO法が施行された後の1999年にNPO法人格を得ています。
 
ここで、上記のまとめとして、非営利セクター国際プロジェクト(JUCNP)が
NPOの定義として定めた5つのポイントをみていきたいと思います。(Ibid: 64-65)

 

1)Formalフォーマル:法人格を持っている必要はないが、組織として体裁を備えていること
2)Non-governmental非政府性:政府から分離していること
3)Non-profit distributing利潤を分配しないこと
4)Self-government自己統治:組織が他の組織に支配されていないこと
5)Voluntary自発性:寄付やボランティア労働力に依存していること
 
上記の基準をもとに、アイン・モシュ村の活動組織について考察してみると、
 
1)モロッコで「ジュマイア(?????)」と呼ばれる非営利団体を設立している
2)同ジュマイアは政府から分離した組織である
3)ジュマイアの法規として「利潤を目的として活動すべきではない」と定められている
4)他の組織の支配下に置かれていない
5)ジュマイアの収入の多くは、生産者からの寄付による。また委員会のメンバーは、ボランティア活動として参加している

 
と、JUCNPが定めた基準と一致することから、
アイン・モシュ村の「ジュマイア」をNPOと呼称することにいたしました。
もちろん、こちらは、NGOの活動と一致する部分も多く、
ウェブページ上の過去の記事などでは、NGOと表記されている部分ございますので、予めご了承ください。

 
 
 
<参考論文>

Salamon, Lester M. & Anheier, Helmut K. (1997), Defining the nonprofit sector ?A cross-national analysis, Manchester University Press.
荒井貴史(2002)、「民間非営利組織と経済活動」、『尾道大学経済情報論集 2(2)』, pp.63-90、尾道大学。

 

 

About the owner

部谷 由佳

フェアトレードショップ「サハラへの道」へご来店いただき誠にありがとうございます! モロッコ、マラケシュ近郊のアイン・モシュ村にあるNPO「未来へ」と協力し、マグリブ・アートを日本をはじめ、世界の皆様にご紹介しております。現地の暮らしや文化、フェアトレードについて店長日記をお届けしています。ぜひご覧くださいませ♪

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